導入事例 信越放送株式会社様(TBS系列)

導入決定 2021年10月
納入日 2022年7月13日
信越放送様におかれましては、それまでスポーツリーグ中継に使われていた車両の老朽化と、システムの抜本的見直し等の必要性に加え、将来の導入予定機材への対応をどのようにされていくか検討されていました。
昨年10月に弊社に入荷した中古中継車をご提案したところ、ご要望に合うものとしてご採用いただき、車両購入~システム施工~車両登録までを一貫して弊社へご発注頂きました。
今回の記事では2022年7月13日に無事納入され、すでに現場で活躍中の同中継車の工事過程など写真を交え紹介させていただきます。 2021年10月中旬、あらかじめご相談頂いていた内容に合う小型中継車が入荷することになり、お打ち合わせの上、信越放送様に伺ってご披露しました。サイズ感・ラック構成・発電機容量など、トータル性能がそれまでご利用中だった小型中継車(信越放送様の呼称)より良いものであったため、導入が決定しました。

ご用途はそれまですでに行われていたスポーツリーグの生中継や特番対応などです。
ご契約時はまだリーグ戦開催途中であったため、現用機材を旧・小型中継車より取り外すことができず、先に車両周りの改装とシステム設計作業を進めていきました。
折しもコロナ禍において、配線材関連品の調達がかなり厳しくなってしまった時期でもあり(本当に物が入りませんでしたね!)、コネクタ・ケーブル・加工品・プラスチック製品など多岐にわたる部材の選定に、弊社技術部は非常に苦労していました。
そういうこともあり、まずは車両の全塗装を始めました。 こちらが全塗装した状態です!入荷時より明るい白のご指定を頂きましたが、ご覧のように1枚目写真とくらべてもパッキリと美しく精悍な見た目になりました。
中古車ですので傷やサビ・凹み等がどうしても出てしまいます。1枚目写真の通り、本車両は元よりボディの状態が良いお車でしたが、それでも外装をきれいにすることでこのように「生まれ変わった感」が出ますので、中継車導入の際にはぜひ全塗装などの機材以外の面もご検討くださいませ!

そうしてお客様とシステムの打ち合わせが進んでいきます。
打ち合わせはメール・訪問・リモート会議等を駆使し、打ち合わせにかかるコストも削減できるようにいたしました。
年が明け、2022年になると色々と決定してくることもあり、いよいよ作業が進んでいきます。
とは言え、機材を旧・小型中継車より外して本件車両に移し替えるのはまだ先の6月頃…ということでしたので、それまでにできることを進めていきます。
システムが確定した所で、機材配置図からケーブル長やコネクタ数量を割り出し発注を掛けます。
このあたりは各販社様にご尽力頂いたり、弊社技術部が苦労して海外で見つけて購入してくれたりして、無事必要数の確保ができました。ありがたいことです。
中継車には金物製作が付き物です。
この車両でもモニターの設置やスピーカーの設置、ラック側面の受け金具、端子盤など自社設計でご用意させていただきました。
その都度車両ごとに合わせた仕様で設計しているため、車両の改装のたびに勉強の機会をいただいております。

弊社作成の端子盤です。
ご要望通りのレイアウトになり、お気に召していただけました。
こちらはモニター固定金具。これも自社で設計しました。

走る副調整室でもある中継車は、想像以上の振動があります。
適切な固定をしないと、その振動の悪影響は機材を痛めるだけでなく、固定金具自体も疲労破断する結果となりますので、基本設計が大変重要になります。この辺のノウハウも蓄積できていることが弊社をお選びいただくことのメリットになりうると思います。
それらの対処がおざなりですと、そのまま機材落下→破損→中継ができない!という大損害になってしまうので、そういった事故が起きないように設計します。
大事なのはお客様の立場でどのように使われるのか考え、扱いやすく、安心して長く使えるものをご提供することです。
そのマインドが弊社は全社員で共有していますので、ご安心してご相談くださいませ。(コストとのトータルバランスも見ることができます)
配線は弊社全員参加で頑張ってやりました!
いかに美しく配線するか、技術部TOPのS君がだいぶ苦心したようですが、キレイにできました!
まだ到着していない機材はネットから背面図を実寸に印刷して、カタログ上の背面パネル位置に貼り付けることで、ケーブルの長さを測るようにしています。これなら物がなくても配線をあらかじめ通しておけます。
もちろん、言葉では簡単に見えても実際は生易しいことではなく、これで狂いなく行けるのはスタッフが夜遅くまで苦心した結果です。
6月下旬になると、旧・小型中継車の運用が終了(お疲れ様でした!)し、弊社に入庫できるようになりました。
さあ!ここからです。
旧・小型中継車から2日ほどで機材をすべて降ろし、弊社倉庫に入れ、そこから一気に新・小型中継車に設置していきます!
この時は信越放送様からスタッフの方がお手伝いにいらして頂き、泊りがけの合宿さながらのスタイルで一気に仕上げました。
それまでは右の写真のように、新品購入品や弊社から中古で購入いただいた製品のみしか配置できていませんでした。それ以外の配線はすべて前述のように機材の想定位置にケーブルを用意しておく手法で先行して進めていました。
まだ旧・小型中継車が稼働中はこのくらいしかなかった機材が・・・
こうなりました!機材がたくさん!見ててワクワクしますね!?
裏面の配線もここまでになりました。

今までも民放局・CATV様・プロダクション様の中継車の施工をさせていただきました。
弊社は小さな会社ではありますが、この規模の車両を滞りなくワイヤリングできるように進歩したことは大変有意義で、弊社を信じてその機会を与えていただいた信越放送様には感謝の念でいっぱいです。
6月27日に旧・小型中継車が入庫し機材を移し替えはじめ、7月13日までには配線完了・試験・登録・納車と強行軍になりましたが、信越放送様のご協力をいただきつつ、作業部隊である弊社技術部全員の頑張りで無事納車となりました。
2022年7月13日。
記念すべきこの日、信越放送様到着に先立ち、北陸信越運輸局長野運輸支局に弊社代表の中川が運転して持込み、無事登録となりました!
その後、信越放送様に到着。無事お引渡しが完了しました。
2021年10月のご成約から2022年7月の納車まで、今回は現用車からの載せ替えメインということでのタイミングやコロナ禍での部材調達が思うように進まなかった点などの要因もあり期間だけ見ますと長く感じられますが、実際は信越放送様のお取り計らいもあって、思いの外スムーズに進められました。
旧・小型中継車が横向きラック4本+後ろ向き1本の構成(SNGタイプに多い配置)だったものが、この車両によってラック6本すべてが横並びになり、見渡しがよく体感的にかなり広くなった点をご評価頂きました。
納車から4日後の2022年7月17日。待ちに待った初運用となりました。
納車から4日というのは普通であれば心配もあろうかと思いますが、それまでに信越放送スタッフ様がご来社頂いていた中で機材の通電チェックが完了しており、また弊社からも全チェックポイントの検証と試験成績書の提出等を行っていたため、「大丈夫だと確信があった」と仰って頂けての本番だったようです。
お客様からご信頼をいただけることが一番の幸せになります。

そうして初陣の日、写真は某競技場でのプロスポーツ中継の様子。
弊社からもスタッフ1名が万が一に備えサポートスタッフとして常駐。無事中継を終えられましたのでひとまず安堵!これが長く続くように…と作っていますので自信はありますが、まずは初回無事中継完了で安心しました。

本車両では写真のように、スイッチャーコンパネ等は都度テーブルを用意して載せるスタイル。
確かに報道用中継車ではないので、移動時はラックの引き出しに入っている必要性はないな、と勉強させていただきました。これであれば、コンパネのみ施設の室内に持ち込む、というようなことも簡単にできます。

本車両を運用してみてのご感想


これまで弊社ではSD時代のSNG中継車を転用し、番組中継やスポーツ中継等で使用してきました。
車内スペースはお世辞にも広いと言えず、機材スペックも不足気味となっていました。
今回導入した中継車はその課題を同時に解決するものであり、居住性と運用性が大幅に向上しました。
例えばスイッチャーやルーターの規模の増強、カメラ台数の増加を果たすことができた点です。
VEの2名乗車が可能になった点も大きな進歩かと思います。
今回導入した中継車を使用して、信州・全国へ様々な感動をお届けできればと思っております。

弊社の対応などへのご感想


端子盤や機材の固定器具など中継車に必要な板金部品の製作、車内のケーブリング作業等、非常に丁寧に素早くご対応いただけました。ビビッドさんは多くの中古中継車の取り扱い実績があり、システム架装にあたって様々なご経験が非常に心強かったです。今回は経費節減のため、社内でシステム設計を行いましたが、こちらの作成した系統図への意見交換等も積極的に行っていただき、より良いシステムを構築することができました。

ビビッドのサービスを利用しようとお考えの会社様にひと言


中継車の新規作成は多大な費用がかかり、これまで持っていた中継車の更新に二の足を踏むユーザーさんも多いかと思います。その中で中古中継車の導入は非常にコストメリットの高い選択肢だと思います。既存の車両との出会いはまさに一期一会ですが、一度探してみてはいかがでしょうか?

現場でお使いの様子

今回の中継車完成で、他局様からもシステム施工のお話を立て続けにいただくことになりました。
弊社の技術力を信用いただけてのご発注は本当に嬉しい限りです。

これからも弊社は勉強を続け、各スタッフの技量向上をお約束しつつ、お客様にとってより良い製品づくり、コストパフォーマンスが良く、扱い易くて利益を生み出せる中継車のご提供を進めてまいります。

中継車にご関心のある放送局様、CATV局様、プロダクション様、ぜひ何なりとご相談くださいませ。